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HARRIS TWEED CRISIS

12/17/2016


その島はスコットランド西岸にほど近い海にあり、春夏の緑美しい自然は冬になると高い木の成長すら許さない寒く過酷なものに変わります。空、海、石、土、花、草、海藻など、島の四季を彩る色の数々は、この島で100年以上前から島民によって織り続けられているツイード生地に織り込まれ、それらは海を越えて日本でも愛され続けています。

そう、この島はスコットランドのアウターヘブリディーズ諸島に属するハリス&ルイス島。
その生地こそ、皆様ご存じの“ハリスツイード”です。




そのブランドの定義は英国国会法で厳密に定められており、紡績から人力による製織、そして仕上げまで全て島内で完結。そしてハリスツイード協会のチェックをパスした反物のみ、出荷とロゴ(織ネーム)の使用が認められるという世界でも他に類を見ない歴史とストーリーを持つ生地です。




日本でも以前から多くの「ハリスツイードファン」がおり、輸出先としても最大のマーケットになってきました。その日本で、実は今「ハリスツイードブランド」が危機に瀕しています。





この数年、ハリスツイードの人気にあやかるような「生地を少ししか使わないのに、織ネーム(ブランドロゴ)を前面に出し消費者を混乱させる商品」が日本で多く出回るようになりました。
そこでハリスツイード協会は、そのブランドと今までのファンを守る為「製品の50%以上ハリスツイードを使用していない商品には、織ネームを含むハリスツイード商標の使用を認めない」旨の通達を出しましたが、今季はむしろ商標の不適切使用をした商品が増えているのです…

本来、スーツやジャケットとして一生涯、いや子供の代までも受け続けられるに相応しい耐久性と、着込むほどに出るアジを楽しませてくれるこの生地を、塩化ビニールや化学繊維を使い大量生産された小物類に切り貼りすることになんの意味があるのでしょうか?
ブランド価値の低下は、ハリス&ルイス島の産業、そして世界のファンにこの生地を届けてきた流通システムに重大な影響を及ぼす恐れがあります。

唯一無二のこの素晴らしいツイードと、その背後にある島の文化・人々の暮らしを守る為、弊社はハリスツイード協会及び関係機関・各社と連携しながら事態の改善を目指していく所存です。
皆様からも、そういった不適切商品には「NO!」の声を上げていただけると大変有り難く存じます。

残念ながら街にはこのロゴが氾濫しだしていますが、本来の用途のためにオーダーしていただいた(いただく)一着の価値は全く変わりませんので、「真のハリスツイードファン」の皆様の変わらぬご支援を宜しくお願いいたします!