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MEMORIAL CHAIR

4/05/2014


今回は久しぶりにMONOの話題を書かせていただきます。
写真の英国製アンティーク椅子。実は弊社の70年強の歴史の1ページを物語る(私たちにとって)とても大切なものなのです。




こちらは背もたれに貼られた銅板プレートで、「1992年4月 マルキシ新社屋の落成を記念し、エドウィン・ウッドハウス社が進呈する」と刻まれています。
1857年創業の英国の名門メーカーEDWIN WOODHOUSEは、当時のオーナー家であるゴント家の3代目兄弟が社長を務めており、弊社とは2代に亘り親交を深めていました。
1992年4月に落成された新社屋とは、弊社創業の地 神田須田町で長く使用された旧社屋を大幅増床し立て替えたもので地上9階、地下1階建てと当時の服地卸業界では群を抜く規模でした。

この時点で目前に迫ったバブル経済の崩壊は皆様のご存じの通りですが、弊社もこの後の10年強で本社を2回移転する(現在の本社は隣町の神田淡路町)など荒波に揉まれていきます。
服地業界全般も大きく変わっていきますが、撚糸から仕上げまで全てを自社で手掛ける総合ミルとして名声を得たEDWIN WOODHOUSEも、2008年に大手服地製造グループの傘下に入りゴント家の手を離れます。
(ちなみにEDWIN WOODHOUSE旧工場を含むヴィクトリアン様式のSUNNY BANK MILLSは、ゴント家の4代目の従兄弟同氏 ウィリアムとジョン共同社長により織物工場の歴史を活かしたオフィスビルへとリノベートされ現在も人気を博しています)




さて、椅子の話に戻ります。
綺麗にレストアされたままの良好な状態を保つこの椅子は、正確な年代は不明ですが100年程前の様式と推測されています。
全体的に美しい曲線を描き高い技術によって製作されたことが見てとれますが、実際の座り心地もなかなかなものです。




近年は私の実家にしまいこまれていましたが、旧社長室をミーティングルームへとプチリニューアルするにあたり久しぶりに会社に戻ってきました。
英国には100年を越える会社はざらにありますが、弊社の73年という歴史も(特に社長に就任してからは)ひしひしと重みを感じています。
この椅子に更なる歴史を刻んでいけるよう、家業を頑張っていきたいと思います!