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MEMORIAL STUFF

7/12/2013


写真の型紙はあるブランドにオーダーした私のビスポークシャツのもの(前身頃・袖・襟)なのですが、自分にとって大切な思い出とストーリーがあります。
そのブランドは、1885年創業の英国を代表するシャツメーカー TURNBULL & ASSER(ターンブル&アッサー)です。

私が一時期家業を離れていた頃にお世話になっていた会社で、担当していたブランドの一つがTURNBULLでした。それまではずっとスーツ、服地畑だったのでシャツの知識は殆どなく、ホールセール(卸売)で扱うなかで色々勉強させていただきましたが、特に大きかったのが同社のヘッドカッターであるデヴィッド・ゲイルとの出会いでした。

ジャーミン・ストリート本店のビスポークサロンで
デヴィッドと私

年に数回、ビスポークシャツのトランクショー(受注・仮縫い)で来日していたデヴィッドのアテンドをするのも私の役目だった為、実際のお客様との接客トーク、英国的な着こなしや技術的なアドバイスなどを本人の口から直接聞くことができました。
チャールズ皇太子御用達、そして歴代のジェームス・ボンドも着用した(デヴィッドが担当していたそうです)ビスポークシャツで知られる名店のヘッドカッターと聞き初めて会った時はかなり緊張したのですが、実際はすごく気さくなジェントルマン。でも、ものづくりでは一切妥協をしないたたき上げの職人でもありました。この頃デヴィッドに作ってもらったビスポークシャツは素晴らしい出来映えで、今でもここぞという時に着ています。

在職中に私が本店を訪れた時、「記念に自分のシャツの型紙が欲しい」という私のリクエストにデヴィッドが快く応じてくれたのがこちらでした。いつか相応しい場所ができたら、本店のサロンのように額装して(こちらは偉人・有名人ばかりですが 笑)飾りたいと思っています。

トランクショーの長い一日の終わり、二人でビールを飲みながら色々と話したのが懐かしく楽しい思い出。残念ながらデヴィッドはもう引退が近い年齢なので、その前にシャツを何枚か作ってもらいたいと思っています。